シナリオをパクろう!

†序文
GMというものは面倒くさいものです。
たまに「GMは怖くないよ」「GMは難しくないよ」という熟練者がいます。
彼らのいうことはあながち間違いではありません。なんとなれば、GMが怖い理由はセッション失敗の責任を背負うからであり、GMが難しい理由はPLに比べて多い作業量が個人の処理能力を越えるからです。(ミスする>対応を慌てる>慌てたせいでミスする>この繰り返しで破綻する、という流れ)
つまり、GMの作業量を減らせば自然と失敗も難易度も減ります。
と、いうわけで。GM作業のなかでももっとも面倒なシナリオ作成を簡単にしましょう。
もっと有り体に言うと、パクりましょう。

†なぜパクるのか
さて、世間で否定される知的財産の侵害をなぜ推奨するのか。それは第一に、我々は素人でTRPGのセッションは金をもうける手段ではないからです。なので、身内で遊ぶ分には権利者から訴えられる可能性は限りなく低く、訴えられても支払うべき儲けがありません。パクることによる権利関係のリスクは0と言っていいでしょう。
第二に、すでに存在するストーリーをパクると言うことは、そのストーリーは破綻がないと世間に受け入れられたということが保証されているわけです。かなりの確率で「それはねーよ」という作品も混じってますが、素人一人の頭で考えたものよりプロ作家+プロ編集が考えたものの方が、勝っている可能性の方が高いです。

†どこからパクるのか
さてパクると決めた以上、パクリ元が必要です。どうするか。
結論から先に言います。
作ろうとしているのとは別のTRPGのシナリオからパクります。
具体例と上げるとするならば、ソードワールド2.0のシナリオをパクってアリアンロッド2Eに使ったり、ダブルクロス3rdのシナリオをパクってパラサイトブラッドに使ったりします。
なんでこんなことを推奨するのかというと、それは基本的にシナリオとして成立しているために、パクるのが楽だからです。ぶっちゃけテクスチャの張り替えとデータの入れ替えだけですみます。
そして、意外とシナリオというのは読んでいる人間が少ないものです。だって自分がPLやるかもしれませんからね。
似たような手段として、別ゲームのリプレイからパクってくるという手もありますが、こちらは幾分難易度が高めになります。

あと、推理小説などからのパクリは非推奨です。なぜかというと、推理小説は「主人公が読者の予想を超えた考えにたどり着く」から面白いのであって、TRPGのセッションにおいては普通人のプレイヤーに真相にたどり着いてもらう必要があるからです。普通人が普通の発想でたどり着ける所に答えがないと、それは普通人にはクリアできないシナリオということになります。

†具体例
ではここからは具体的に私のシナリオを使用してパクる課程を見ていきましょう。
アルシャードガイアのシナリオをパラサイトブラッド用に改編します。
使用するシナリオは
https://docs.google.com/document/pub?id=1Q6tXT7_l_iez3f19-un-ECTiJZiH1A96VfQxxku2Jxw
このシナリオを使用したリプレイとプレイレポがありますので、よろしければそちらもどうぞ。
http://homepage2.nifty.com/freeschool_minamo/gallery/replay_kyodai.htm
https://docs.google.com/document/pub?id=105rcccFsbYqE3C1BSzTmMyuSQ9xl5yl8Ct7XHbhMbrA
さて、思い切りネタシナリオだと理解していただけたと思います。
では、テクスチャの張り替え作業といきましょう。
まず、PCはクエスターから悪魔付きになりますね。全員DUST所属にしておけば、事件に関わるモチベーションも十分でしょう。
魔法儀式ということで処理している、ヒロインと魔物との戦いですが、これも「特殊な悪魔付きとの戦いにPC達が共振した、悪魔付きの気配ルールの特殊な形」みたいに言っておけばごまかせるでしょう。
さて、「降り懸かる悪い運命を具象化して倒す」なるうろんなものはさすがにそのまま張り替えられないので多少改変します。
この町の地下には悪くて巨大なヴィシャスが封印されている。その封印とは、神社の御神木に寄生してる原種の共生生物のことで、定期的に御神木を通じてヴィシャスの精神にダイブし戦わなければならない。それに失敗するとひどい地震や山崩れが起きる。
としておきましょうか。となると、オープニングの列車事故も、局所地震や謎の陥没事件に読み換えが効きますね。
修行シーンはこのまんまでもかまわないでしょう。悪魔付きは衝動とかつかって無茶な判定でも成功できますので、目標値は結構高めに設定し直します。精神ダイブシーンも一緒ですね。敵データはルルブ付属のものでも問題ありません。
黒幕はもう、簡単にドミニオンかデビルズネストでいいでしょう。御神木とは別ルートからヴィシャスにアクセスしてそれに協力するor支配する形ですね。
ボスの居場所も適当に変えるとするならば、「大規模な造成工事は、ヴィシャスに接触するための陰謀だったんだよ!」としておけば、工事現場っぽいとこでクライマックスと話が見えてきますね。
さて、ここまでやって「そんなすらすらと改変できないよ!」という方もいるかもしれません。
ですが、すらすらと改変する必要はありません。
白い紙や、メモ帳アプリを開いて適当に書き殴りつつじっくり考えましょう。(頭の中でだけ考えるのはやめた方がいいです。思いついたことを行ったん忘れてまた思い出して思考が堂々巡りするので。)
シナリオ作成を含む準備は、セッションそのものと違って自分が許す限り時間がとれます。慌てず騒がず進めましょう。

†最後に
安易にシナリオをパクることを推奨した記事を書いておいてなんですが、もしパクリをスラスラできるようになったら、シナリオの改変やオリジナルのシナリオの作成にも挑戦してみてください。
あらゆる技術に共通することですが、まず型を覚え、型の非行率な点や自分に合わない部分を改変し、最後に自分だけの型を作り出すものです。
そして、他人が公開したシナリオとは、その型の結実であり。それをパクると言うことは型を覚えるということにつながります。
まずは飽きるまでパクりましょう。それを越えたとき、あなたは自分のための創作をする下地ができているはずです。